行政書士の勉強を始めて、行政法でつまづいている受験生も多いのではないでしょうか。
イメージしにくい。似た用語が多い。覚える量が多い。民法と違い、日々の生活で行政に関わることが少ない現段階では、行政法は非常にイメージしにくいですよね。
行政法は1つの法律でできていません。行政組織法、行政作用法(行政手続法や行政代執行法)、行政救済法(行政不服審査法や行政事件訴訟法や国家賠償法)、地方自治法からなる集合体でできているのが行政法です。
このような集合体になっているので、行政法は分かりにくいのかも知れません。しかし、行政書士は行政法がメインの試験です。行政法を攻略しなければ、合格はいつまで経っても遠のくばかりです。
そんな行政法ですが、行政法の仕組みを理解してしまえばどの科目よりも点数を取るのが楽になります。
ここでは、行政法の勉強方法となぜ点数を取るのが簡単な理由を説明します。
行政書士は「行政」の名が付くから行政法は必須
行政書士は、職業の名に「行政」と付いているので、受ける前から行政法がメインの試験ということは分かりますよね。
ですので、行政法が苦手と言っている場合ではありません。
私が合格した時は、本試験で点数を稼ぐカモ科目になっていました。ですので、このブログを訪れたことをいい機会だと思い行政法をしっかり克服して合格に一歩でも近づけるようにしていきましょう。
行政法の問題は簡単なものばかり
それでも数ある勉強サイトでは「行政法は難しい」「理解しにくい」「受験生にとっては取っつきにくい」など、ネガティブなことばかり書かれていると思います。
はっきり言いますとそんなことはありません。
むしろ、行政法の問題は条文を知っていれば、正解できる形式的な問題ばかりです。
条文の読み込みとテキストの理解と過去問の分析をしっかり行うことで、高得点に繋げられる科目です。
例えば、「行政庁は、申請がその事務所に到達したときは速やかに当該申請の審査をしなけらばならない」という問題が出題されたとします。これは行政手続法第7条では、「速やかに」→「遅滞なく」と書かれています。
行政手続法第7条
行政庁は、申請がその事務所に到達したときは遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならず…
引用元:wikibooks
このように、行政法の問題は条文を暗記していれば答えられる簡単な問題が多く出題されています。
まずは、行政法の仕組みと問題傾向としっかりと把握するようにしましょう。
行政法は最重要科目!しっかり高得点
試験の全体で行政法の得点が何割占めているか知っていますか。
「5肢択一」(法令40問中19問×4点=76点)
総論…4~6問
行政手続法…3問
行政不服審査法…2問
行政事件訴訟法…3問
国家賠償法…2問
地方自治法…3~5問
「多肢選択」(3問中2問×8点=16点)
「記述式」(3問中1問×20点=20点)
合計112点(300点中)
112点÷300点=0.373333
全体で3割以上占めています。
行政書士試験の合格基準は全体の6割180点を取れれば合格できる試験です。しかし、一般知識の足きりがあるので、最低24点は必ず取らないといけません。
そうなると、行政法と一般知識の点数を足した点数を、合格基準の点数から引くと
「180-112+24=44」
行政法が完璧なら他の科目で44点を取れば合格できることが分かります。
残りの44点は、5肢択一で11問分か記述式の2問分ですね。
もっと言ってしまえば、民法で満点(76点)を取ってしまうと余裕で合格点を超えてしまうことになります。したがって、行政書士の試験は、行政法と民法と一般知識の3つだけ点数が取れれば、合格できてしまう試験です。
この法令2科目(行政法、民法)+一般知識だけを勉強して合格できるほど甘くないのですが、行政法の配点数を考えると…行政法を逃した時点で合格はできないことが分かりますよね。
行政法は、試験の中でも最重要科目になることが分かったと思うので、行政法を苦手と言わず、得意科目にして高得点を狙いにいきましょう。
行政法の仕組みを解説
ここで行政法の仕組みを理解しましょう。
行政法の仕組みは下記のようになります。
行政組織法(誰が)
↓
行政作用法(どんな行為)
↓
行政救済法(その行為に違法があった場合の救済方法)
例えば、市役所(行政組織法)が、国民から税金を徴収(行政作用法)しました。間違って多く税金を徴収していたので、国民側が不服の申し立て(行政救済法)をし無事に超過分の返金して貰えました。
行政法の勉強のコツとして、テキストを読むときに上記のような行政法の仕組みを知っているかで理解度が変わってきます。
行政法も含めどの科目でもテキストを読むときは、仕組みを頭に入れ勉強していくことが重要です。
行政法の勉強方法2つのポイント
勉強のポイントですが、条文の読み込みと10年分の過去問分析の2つです。
過去問の分析方法は、各年度の本試験は同じよう問題がどう変わって出題されているのか。H20年度とH25年度の違い。H20年度の5肢択一で出題された問題がH25年度では記述式で出題されたなど。じゃー次は多肢選択式で出るかも…という予想ができますね。
次に行政行為の出題なら10年間で何回出題されているのか。例えば、10年で3回出題されているとし、23年度、26年度、29年度で出題されているから…30年度に出題される確立率は薄いかなと判断できます。
このように過去問をありとあらゆる角度から分析してください。そうすることによって、独自の分析能力が上がってきます。
点数が上がらない人は、条文の読み込みを徹底
2つ目は、条文の読み込みです。行政法の点数を上げたいなら条文の読み込みは必須です。条文を読むことで、行政法の全体像の理解度も上がり点数アップにも繋がります。
行政組織法⇒国家行政組織法
行政作用法⇒行政手続法、行政代執行法
行政救済法⇒行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法
地方自治⇒地方自治法
※地方自治法は、条文が多いためテキスト範囲の条文のみ
模試などの点数が伸びないと悩んでいる受験生は、上記に挙げた法律の条文を徹底的に読み込みしてください。まとまった時間が取れないのならば、すきま時間でも30分でもいいので時間を有効に使って読み込む。
受験当時、私は毎日1つの法律を目安に条文の読み込みをノルマにしていました。条文を読み込むことで行政法の点数がグッとアップしたのを覚えています。
行政法は、全体像を把握しながら個々の法律を勉強していく
行政法という法律はありません。国家行政組織法、行政手続法、行政事件訴訟法など個々の法律が集まってできたのが行政法です。
行政組織法(誰が)
↓
行政作用法(どんな行為)
↓
行政救済法(その行為に違法があった場合の救済方法)
しかし、行政法の全体像をしっかり把握できていると、個々の法律を勉強した時に迷うことなく勉強を進めていけます。
例えば、行政不服審査法を勉強中なら、行政救済法の一部を勉強していると分かりますよね。このように行政法の構造をはっきり意識しながら、個々の法律を勉強していけば行政法を克服しやすくなります。
行政法は、高得点を取るためのカモ科目!3つの理由とは
勉強を進めしっかり理解していくと、行政法で高得点を取るのが簡単になってきます。まさにカモ科目になります。
その理由として
行政法の問題は、範囲が広いようで1つ1つの法律は狭いです。一度、行政法の仕組みを分かってしまえば、大きな変更もなく毎回同じ内容を角度を変えて出題されるだけなので単調な問題ばかりです。
例えば、5肢択一で出題された内容が多肢選択式で出題されたりします。
また、行政法は民法のような思考を要する問題は少なく形式的な問題が多くなる傾向が強いです。
国家賠償法+行政3法で点数を稼げ
その中でも、国家賠償法含めた行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法の4つの法律から出題される問題で点数を稼げます。どの法律も50条以下と短い条文構成になっています。国家賠償法でいえば6条しかありません。
問題作成者は、範囲が制限されている中で、問題を作成しなければいけないことになり形式で単調な問題ばかりになってしまうのです。
なので、条文の読み込みと仕組みを理解すれば点数を取ることができるので、ここで点数を稼ぐようにしましょう。
本試験で行政法は「7~9割」の点数を目標にする
行政法は、ひねった問題が少なく形式的な問題と過去に出題された問題が多く出題されます。
テキストの理解と条文の読み込みと10年分の過去問分析で十分に対応が可能です。
本試験で行政法を完璧に取れれば言うことなしですが、目標は7~9割の得点を目指してください。
点数でいうと80~100点になります。
それでも模試などは9~10割を確実に取れるようにしてください。本試験では、緊張と焦りで完璧な解答は難しく、1~2割の点数が下がると言われています。
私自身も合格した年は、模試で目標にしていた点数を取っていました。そして間違えた問題は徹底して解きなおし、その範囲を見直し完璧にしていきました。
ですので、本試験を見据えて、模試ではほぼ完ぺきに正解できるように日々の勉強に力を注いでください。
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