行政書士試験の記述式の解き方に悩んでいませんか。
記述式は、合格するためのキーマンです。
5肢択一で、合格点を超えられなかったら、記述式の点数で合格点までもっていかなければいけません。私も合格した年は、5肢択一で180点を超えられなかったので、記述式の点数と合わして182点ギリギリで合格しました。
それだけ、記述式は大切な問題です。
しかし、書き出し方が分からないなどの理由で記述式を苦手にしている受験生は多くいます。ただそのような受験生はしっかりとした対策をしていないだけです。しっかりと対策を取れば満点とはいかなくても3問とも書け部分点で合計の30点程度の点数を取ることはできます。
今回は、記述式で点数を取るための対策方法について詳しく説明していきます。
記述式問題の出題傾向
現在の記述式は行政法1問、民法2問で構成されています。よく憲法から出題されるかもと言われていますが、これは今後も続いていくと思われます。行政書士と書いてあるので行政法は必然的に出題されますし、近年民法が大幅に改正されたこともあり、なお実務の観点から重要性も高まっているので民法も出題されるでしょう。
しかし、現代社会で大きな出来事があれば、変わるかもしれません。例えば、天皇の退位、憲法改正があった場合は、出題される確率はあるかもしれません。
それでも、そのことを気にして対策を取る必要はありません。現在まで、行政法と民法しか出題はないので、憲法の記述式が出題された場合は、難解問題が出るとは考えられません。出題されても、重要な判例や条文を書かせる問題です。なので、5肢択一の勉強をしっかりこなしていれば対応できるでしょう。
記述式は、今後とも条文を書かせるような簡単な問題は、少なくなってくるでしょう。問題文は長文化が予想され、解答の仕方も思考を要する問題なるばかりです。例えば、〇○○の申請が却下された。AさんはB庁に不服申し立てするために、□□□□と△△△△を併合提起できる。
のような、条文を知っているだけでは答えられない思考を要する解答になります。
記述式の目標点数は7割の40点。
目標となる点数は60満点中40点です。記述式は、1問20点で3問出ますので合計60点です。
なぜ、満点を狙わないのか?それは採点基準にあった
なぜ、満点を狙わないの?と思った人もいるのではないでしょうか。これには、記述式の採点基準が深く関係しているためです。
それは、明確な採点基準がないからです。試験側が採点方法はこうなります。というのがなく不透明になっており、ほぼ満点の解答をしても点数が思うように取れないことがあるのです。
絶対的評価の試験と相対的評価の試験
行政書士は絶対的評価の試験なのに、記述式で合格率の調整を計っているのでは?という、さまざまな憶測が飛び交っています。
試験には、絶対的評価の試験と相対的評価の試験があります。
絶対的評価とは。行政書士試験のように300点中180点を越えれば、絶対合格できる試験。点数を越える受験生がたくさんいれば、その分合格率も上がります。
逆に、相対的評価の試験とは、決まった合格点数がなく、最高点の上位順から合格できるのが相対的評価試験になります。これは、社労士や司法書士などが採用しています。
記述式で合格率は、本当に調整されているのか?
先ほども言いましたが、行政書士は絶対的評価の試験でも、採点基準がない記述式で合格率を調整しているのではないかと言われています。
結果からいうと、私も調節していると思っています。
答案用紙の答えは、それぞれ違った文字で書かれていますので、模範解答と答案の答えが一字一句合っていないと機械で読み取るのは不可能なはずです。
なので、実際に記述式を採点しているのは人です。人が採点しているということは、採点している人の主観が必ず入ってきます。
例えば、A採点者とB採点者がいたとします。
Aは、これは似ている言葉だから正解と判断して点数を付けました。しかし、Bは、正解の答えとは違った言葉を使っているから誤りと判断して点数を付けませんでした。
これは、極端な例ですが、このように採点に人が関わるということは、その人の主観が入ってきてしまい正確な点数になりません。
受験地での違いであった本当の話
私の体験談を少しだけお話しします。
予備校が出している即時解答で、私は5肢択一で164点取れていました。残りは、記述式で18点取れば合格です。当時、同じように162点で記述式待ちの状態という受験仲間Dさんもいたのです。
共に、記述式の解答を見せ合い、文字の使い方は違えど答えの内容はほぼ同じでした。1問に関してはまるっきり同じです。(後日、試験研究センター正解を見てみると多少文字の使い方は違ったが3問とも内容は同じ答えを書いていました。)
なのに、私は合格して、Dさんは不合格になってしまったのです。これには、かなりの衝撃を受けました。ちなみに、私は茨城県の会場で受験しました。Dさんは千葉県の会場です。
その年の合格率は10%ぐらいです。その後、都道府県別の合格率も確認したのですが、茨城県5%に対して千葉県は13%でした。私とDさんは、同じような解答をしたのに点数の付け方が違っていたのです。
私の合格票をみたら、記述式は18点です。実際、私はもっと点数が取れたと思っていました。それだけ模範解答に近い解答をしていたからです。ぶっちゃけ軽く40点は取れると思っていた。
その年の試験は、5肢択一が簡単だったせいもあり、記述式の採点が厳しいというネットの書き込みが多くあったのです。
これからも分かるように、その年の5肢択一のでき方によっては、記述式は厳しい採点がされるなど調整は入るのかと思います。なおかつ、都道府県ごとに調整が入っていることが私の体験談でも分かります。
なので、満点を取ることは難しいと考えて、部分点の40点を取る目標にするのがいいでしょう。
記述式が簡単に書けるようになる6つの順番を紹介
ここからは、記述式の解き方を下記の順番で解説します。
6つの手順で進めていけば、簡単に記述式を解くのは簡単になるでしょう。以下で、順番ごとに詳しく解説していきますね。
手順1:簡単に図を作る
行政法でも民法の問題でも、必ず図を書くことが大切です。
図を書いてしまえば、あとはその図を他人に説明する感じに40文字で書けばいいだけです。
AがBに対して2000万円を貸して、担保としてB所有の甲建物に抵当権を設定した。設定後、Cの放火行為により甲建物が焼失してしまった。BはCに対して行える行為はなにか。またAは自身に損害が起きないようにBに対して取り得る要件と行為はなにか。40字程度で記述しなさい。
という問題があったとします。まずは図を作成します。

こんな感じでいいので簡単に書いてみることです。
手順2:箇条書き
図の作成ができたら、次に箇条書きです。
図を見ながら、話しの流れをイメージし問われている答えを思いつくだけ箇条書きにします。
今回の例なら。
このように、自分を問題の当事者として損害が被らないように考えることがコツですね。
手順3:冒頭の書き出し
箇条書きができたら、3つ目の手順は冒頭の書き出しです。
記述式で書けない人は、冒頭の書き出しができないのが多いですね。私もブログを書いているときに起きるのですが、最初の書き出しで手が止まります。読書感想文とかもそうだったと思います。
はじめの書き出しができず、何時間も用紙が真っ白。でも、いざ書き出したらあっという間に作文が書き終わっていたとか、むしろ書くことが多すぎて書き切れなくなっているなど。
記述式も同じで、書き出しをしっかりできればあとは自然と文書が繋がっていきます。そこで鉄板の冒頭の書き出しあるのでお伝えしますね。
○○○は、□□□に対して
「AはBに対して~」「行政庁は、A対して~」など、この書き出しを使えば、冒頭で手が止まることがなくなると思います
あとは、内容に応じて少しアレンジして使うようにしてください。
手順4:話をまとめる
ここまでくれば、あとは箇条書きした文章と冒頭の書き出しをくっつけて話をまとめるだけです。
まずは、箇条書きした文章を繋げてみます。
Bは、Cに対して損害賠償請求権ができ、Cはその損害を支払う。Aは、Bに対してCの支払いが履行される前に差し押さえしなければならない。
これだと、ちょっと長すぎるので、話が通るように文字を削って40字でまとめていきます。
Bは、Cに対して損害賠償請求権ができ、Aは、BにCの支払いが履行される前に差し押さえる。
「Cはその損害を支払う」の文書を削除した理由は、問いでCの行為については聞かれていないので、削除しました。
これで答案用紙に書く文章が完成です。
手順5:下書き
いきなり、答案用紙に書いていくのはNGです。
必ず、問題用紙のどこでもいいので下書きをして正書してください。いきなり、正書すれば書き間違いや40文字でまとまらなくなるなどの問題が起きます。
面倒でも下書きをしましょう。
手順6:正書
下書きが完成したら、あとは答案用紙に誤字脱字に気をつけて正書していくだけになります。
この時に、漢字が分からないときはひらがなにしましょう。採点基準は分かりませんが、実務の世界では誤字はやってはいけないことです。
なので、誤字は減点対象になってもおかしくありません。ひらがなでも内容は通りますので、問題ないと思われます。
記述式の注意点
記述式の注意点として短い解答をしないことです。中には、要点だけがしっかり伝えわれば問題ないという人もいます。私はそうは思いません。
解答用紙のマスは45文字まで書けるようになっています。要点だけでは、話の流れが伝わらない場合もありますし、登場人物がいるのならその登場人物を入れて書くことで、それだけ話に厚みが出ます。
理想は、42~45文字で収めるのがいいと思います。採点者にも、これだけ考えて書いたぞとアピールするつもりで書いてくださいね。
必ず、なにかしら書く
もし、図を書いても専門用語が分からなくても何かしら書きましょう。
先ほどの例で、損害賠償請求権が思い出せなったら、それに類似する言葉でも問題ありません。
損害賠償請求権→求償請求権
でもいいです。話が通るようになれば何も書かないよりは書いた方がいいです。記述式の配点は、部分点なので、何かしら書いておくことで点数が貰えるからです。
なので、どんなことでもいいですので絶対に書くことが大切です。
記述式の勉強方法と対策
ここからは、記述式の勉強方法と対策を教えます。
条文の読み込みと判例の読み込み
簡単な条文からの出題はないと言いましたが、条文をそのまま書かせる問題が出ないだけです。事例を通じて、重要条文と重要な判例の判旨から出題されます。先ほどの例で、使った条文は民法304条、372条を使った抵当権の物上代位性の問題です。
問題の思考を要する問題で難易度が上がっているのですが、基本的には、基本となる重要条文と重要判例から出ることがほとんどです。なので、条文と判定の読み込みが大切になってきます。
模試を多量に解く。数打ちゃ当たる作戦
本試験では、記述式の問題は何が出るか分かりません。多くの資格校が、過去の問題から傾向を分析し本試験で出題される問題を予想しています。それが資格校の仕事だからしょうがないのですが、基本的には予想は当たらないと思っていた方がいいですね。
それよりも、試験1か月前ぐらいから模試を多量に解くことをおすすめします。数打ちゃ当たる作戦です。
模試も、本試験の予想問題を兼ねています。1つで当たらないなら。たくさんの予想問題を解けば、本試験に出る問題に当たる確率だって上がります。
40字で書く練習をしておく
記述式は、他人に説明するために頭で分かっていることをアウトプットするだけです。ただ、記述式を苦手とする受験生はアウトプットを苦手としていることが多いです。
多くの受験生は、頭の中でなら正誤の判断ができるぐらいの知識を持っています。他人に説明する練習が足らないだけです。
40字で書く練習をしっかりこなしていけば、自然と記述式は書けるようになります。
記述式に出そうだと思うところに印付ける。
普段の勉強で、記述式に出そうだと思うところにチェックをつけておきます。例えば、行政法の不可変更力や不可争力や民法の物上代位性などもそうです。
チェックする箇所は、自身が気になる箇所で問題ありません。そうすることで、再度チェックしたときに見返すことになり、知識の定着にも繋がってきます。
まとめ
記述式は書くことに慣れてしまえば、何かしら書けるようになります。ただ、記述するというアウトプットが慣れていないだけです。
記述式の問題文の内容は難しく書かれているだけで、聞かれていることは案外簡単な内容の場合が多いです。
図を書いて、何を聞いているのか。把握し何を伝えればいいのかじっくり考え、書けば必ず書けるようになるので頑張ってみてくださいね。