「行政書士実務」相続手続きの財産調査:『預貯金と生命保険』編

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こんにちは。イシマサ.comです。

前回の相続手続きの財産調査「不動産編」に引き続き、今回も財産調査についてブログを書いていこうと思います。

何度も言いますが、相続手続きを進める上で財産調査は非常に大切です。

相続税が掛かるかの判断。完了後の手続き漏れを防ぐなど。

財産調査を怠れば、後々お客さんに迷惑を掛けるばかりか、最悪揉める原因にもなるかもしれません。

そうならないためにも、相続手続きの財産調査はしっかり行うようにしましょう。

前回は、不動産の調査方法について書きましたので、今回は「預貯金」と「生命保険」の調査について書いてきます。

それでは、今回も行ってみましょう。

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相続時の預貯金調査の方法を紹介

それでは、預貯金の調査方法からいきます。

預貯金と聞くと、お客さんから直接聞くだけでいいのでは?と思うかもしれません。確かに面談時では、おおよその財産を聞き相続税申告の有無を提示するだけでいいでしょう。

しかし、実際手続きを始めた場合、正確な財産額が分からないと相続税が本当に掛かるのか判断ができませんよね。また、財産目録を作る場合にも必要なりますので、しっかり調べることが大切です。

預貯金の調査に必要な書類一覧

預貯金の調査をするために、必要な書類は下記になります。

「残高証明書に必要な書類」
  • 委任状(実印での捺印)
  • 代表相続人の印鑑登録証明書(3ヶ月~6ヶ月以内のもの)
  • 被相続人と相続人の関係が証明できる戸籍謄本
  • 行政書士証書の写し
  • 預金通帳、預金証書、キャッシュカードの写し(銀行による)

残高証明書を取得して、正確な金額を把握する

上記で提示した書類をもとに、各銀行に残高証明書を発行してもらいます。

残高証明書を確認すれば、銀行へ預金されている残高が分かりますので、正確な金額を把握することができます。

また、お客さんには、被相続人の預貯金が不明という人もいます。その場合は、相続人の方に、被相続人が取引ありそうな目ぼしい銀行を聞くなりして近隣の銀行をしらみつぶしに問い合わせるしかありません。

ちょっと、面倒ではありますがしっかり残高証明書を取得して正確な財産額を把握しましょう。

過去3年以内のお金の流れを確認、贈与を把握しよう

次に、生前に行われた贈与について確認が必要です。

なぜなら相続開始前過去3年以内にされたものは、相続税の対象になるからです。また注意する点として、110万円の暦年贈与だとしても、贈与税が非課税になるだけで、相続税は非課税になるわけではありません。

なので、相続人に贈与の説明をしっかり伝え、過去3年以内に贈与がありそうな場合は、取引明細書も一緒に取得してお金の流れを確認しましょう。

既経過利息に注意!

ある程度の財産を把握し相続税が掛かりそうだ!と思ったら、預貯金の既経過利息に注意しましょう。

今現在、銀行に預けていても利息はスズメの涙程度ですが、お金を預金していれば、利息が付いてきます。いざ預金を解約した時には、残高の預金額と利息を含めた金額が払い戻されます。その利息のことを既経過利息といいます。

その既経過利息も相続財産に含めなければいけません。

現在の利息なんて、0.01%程度しかないから考える必要あるのか?と思いますが、預金が億単位や定期預金の場合、少なからず総財産に影響を与える可能性もあります。

既経過利息の計算については、対象となる銀行に問い合わせすることで計算してくれます。それを元に既経過利息を含めた相続税を計算します。

相続税が掛かりそうと思ったら、既経過利息についても注意して相続財産に含めるようにしましょう。

出資金がある場合も注意!

預貯金には、銀行だけではなく、農協(JA)、生協(Coop)などの協同組合の預金通帳もあるでしょう。

そのような預金通帳を持っていると被相続人が「組合員」になっていることがあり、出資金として毎月積立をしていることもあります。そのような出資金も相続財産に含まれます。

出資金額の調査はそう難しいことではないのですが、解約手続きが完了するまで長期間に及ぶことがあるので注意しなければいけません。

出資金の解約をするためには、総代決議が必要になります。その総代決議が年1回だったりすると時期によっては、1年近く待つこともあります。

ですので、出資金の解約手続きがあれば、相続人に時間を要することを伝えるようにしましょう。

貸金庫の解約は、早急にしよう

被相続人が貸金庫を持っていることもあります。

その場合、早い段階で貸金庫の解約手続きをしなければいけません。貸金庫の中には、現金預金や高価な財産が入っている可能性もあるからです。

相続税の申告は、相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月という期限がありますので期限に間に合うように総財産を明確にしましょう。

相続時、生命保険の調査方法を紹介

次に生命保険の調査になります。

生命保険の保険金は受取人が決まっていることが多く、遺産分割時、相続財産の対象から外れることも多いです。

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保険金の受取人が指定されていれば、受取人個人の財産になるので、遺産分割協議は必要ありません

しかし、相続税が対象としている財産は、保険金も含めた財産になるので、保険金の額もしっかり調査することが大切です。

保険金額は、保険証券や証書がありますので、それを確認して金額を把握します。

もし証券などが紛失していた場合、保険会社に問い合わせしましょう。

相続税の控除額は、500万円×相続人の人数

生命保険は、相続税の控除対象になっています。

生命保険の相続控除額の計算は下記になります。

『生命保険の控除額の計算方法』

500万円×相続人の人数

「例」保険金額2000万円 相続人3人の場合

500万円×3人=1500万円←控除額

2000万円-1500万円=500万円←相続税の対象

被相続人が生命保険に加入していた場合、推定相続人を把握して控除額を計算しましょう。

保険金を受け取る前に、数次相続が発生した場合の控除額の計算

被相続人Aが死亡後、相続手続き完了前に、相続人Bが死亡してしまったケース…よくある数次相続ですね。

この場合、死亡した相続人B(以下、被相続人B)が受け取るはずだった、被相続人Aの保険金は、被相続人Bの相続人が引き継ぐことになります。

ただし、保険控除の計算は、被相続人Bが生存していた状態で計算するので、被相続人Bの相続人が何人いても、控除額の計算は被相続人B1人として計算します。

税金の種類は受取人によって違うので注意!

生命保険の受取人によっては、相続税の対象になる場合とそうではない場合があるので注意が必要です。

以下で受取人の税金対象の種類を紹介しておきます。

出典:保険テラス

この場合、被保険者が被相続人になります。契約者というのが保険会社と契約した人です。ケース②について説明は入りませんよね。夫が契約者・被保険者なので、夫の財産を妻と子が受け取ることになるので相続税の対象です。

ケース①の場合、契約者は夫になり、保険対象になる被保険者は妻です。その妻に不慮事故があり保険金を受け取るのは、契約者本人の夫です。保険金は、妻の財産ということではなく、契約者の財産がそのまま契約者に支払われたということになるので、所得として税金が課せられるのです。

ケース③の場合、夫と妻の関係はケース②と変わりません。妻に不慮事故があったとしても、保険金は夫の財産です。その財産を子(第三者)へ贈与したということになり、贈与税になるのです。

このように、生命保険は受取人によって、税金の種類が変わります。相続税の対象なら相続財産に含めますが、そうでなければ含めません。

そうなると相続財産の金額も大きく変わってきますので注意が必要ですね。

まとめ

以上で、預貯金と生命保険の相続財産調査の方法を紹介しました。

いかがだったでしょうか。預貯金や生命保険は、凄く身近の物です。これを読んでいる人にも、両方持っている人が大半ですよね。もちろん私も持っています。

そんな身近な物でも、いざ他人の預貯金や生命保険を調べるとなった場合…委任状の取得や相続税の対象なのか。

など、労力と専門的な知識が必要で調査するのも大変です。

しっかりと調査しなければ、完了後、未手続の財産ができたとなればクレームの対象になってしまう可能性もあります。

逆に、面談時お客さんに調査の大変さをアピールすることができれば、受注できる確率も上がってきますよね。

ですので、財産調査の方法をしっかりと身に付けておくといいですよ。

今回はこれで以上です。またお会いしましょう~

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